さくらプロジェクトのブログ

タイ北部チェンラーイで活動する山地民の子どもたちのための教育支援NGO「さくらプロジェクト」代表の三輪隆が綴るさくら寮での日々

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落とし物の末路

2009/10/28 20:05 ジャンル: Category:さくら寮日誌
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9月に行われた寮内スポーツ大会の応援合戦。男の子たちは女装が大好きだ。


またまたさくら寮生がやらかしてしまった。

ある夜、スタッフのカンポンが深刻そうな声で「MとNがまたやっかいなことを」と私に電話してきた。事務所に出向くと、中2の女生徒、NとMが呼ばれてしょんぼりとうなだれていた。チェンラーイ市に甚大な損害をもたらしかねない過失を犯して、こってりと油を絞られているところだった。

 ことの起こりはその日の午後。チェンラーイの某役所の役人が固定資産税か何かの調査だか徴収だかで市内をまわっていて、その住民の情報やら税額やら領収書やらがはさんであったファイルを途中で紛失してしまった。ある家を訪問しているときピックアップトラックの荷台に置き忘れ、それが運転中に風で飛んで路上に落ちたらしい。個人情報満載の機密書類のファイル丸ごと一冊だ。夕方になってそのことに気づき、これが出てこなかったら首が飛ぶかもしれないと真っ青になったお役人は、自分のたどった道を戻り、血眼になって探しまわった。そしてナムラット村のタム・トゥー・プー(さくら寮から約500メートルほどのところにある洞窟のある寺)にさしかかったところ、路上に落ちている紛失した書類の一部を発見した。ところが書類はすべて無残なまでにずたずたに引き裂かれ、修復不可能と思われるほどに細かくバラバラにちぎられた紙片が散乱していた。半狂乱の悲鳴をあげたお役人、涙目になって拾い集めているうちに、あることに気づく。散乱した紙片が、道なりに規則的な軌跡を描いてある方向に向かって続いていたのだ。そのちりぢりの紙片を拾い集めていくうちに、たどり着いたのはさくら寮の前だったという。

そう、この日の夕方、偶然この書類ファイルを拾ったのは、さくら寮生のMとNの二人である。タム・トゥー・プーまでの一本道は寮生たちの夕食後の散歩コースになっている。二人は何を思ったのか拾った書類を少しづつビリビリ破りながら寮に帰ってきたのだという。紙片は寮内まで残っているから言い逃れもしようがない。スタッフのカンポンは寮生の保護者としてお役人からこっぴどく嫌味と叱責の言葉を頂戴し、MとNが呼び出されたというわけだ。

まあ、重要な書類をうっかり落とすほうも問題ではあるが、ちょっと中身を見れば重要かもしれないとわかる書類を拾って、ちりぢりに破り棄てる神経というのもわからない。スタッフなり警察や役所なりに届けるというのが常識人の発想であろう。

「なんでまたお前たち、こんな馬鹿なことを」と問い詰めると、彼女たちはこの書類は誰かが不要になって棄てたものと思い、その紙を使って恋占いをやりながら寮に戻ってきたのだという。ひと切れひと切れ破っては捨てながら「(好きな相手が自分のことを) 愛している、愛してない、愛してる…」とやるあれだ。唖然である。

「おまえら、いったい何年学校で勉強してるんだ。幼稚園児じゃあるまいし文字を読めないわけじゃないだろう。これが公文書だってことにもわからずにいたのか。大人がやったら公文書損壊毀棄の罪で逮捕されてもおかしくないんだぞ!」

至急、寮生たち全員を集めて訓告である。


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寮内スポーツ大会応援合戦。女装が好きな男子がいれば男装が好きな女子もいる。



「今回のことを教訓に、落し物を見つけたら、どこかにそれを亡くして困っている落とし主がいると思いなさい」
いまさらのような単純な教訓だが、そんなあたりまえのことも念を押さずにいられないのが異文化の地。ふだんの寮生たちの行動の中に今回のような事件につながる伏線として思いあたるふしはたくさんあった。それは寮生たちの公共性に対する認識の欠如、そして部分から全体を想像する力の欠如である。

たとえば寮内で自分の持ち物が紛失した場合は必死で捜す。が、他人の紛失物にはまったく無頓着である。財布とかお金とかカメラとか見るからに金目のものは別として、落し物を拾っても、それをなくした人が困っているのではないかという認識が希薄だ。タオル、パンティ、スカート、ノートや教科書…、確かにいろんなものが寮内に落ちているのだが、たいていは故意に棄てられたものだとみなされ、履いてゴミ箱に棄てられてしまう。(こちらではゴミはゴミ箱に直接棄てるのではなく、まずそのへんに落として、それから箒などで掃いて後にまとめてゴミ箱に入れるのが習慣になっているからだろうか) 鍵、ピンポン台のナット、ロッカーの取っ手、ドアノブ、扇風機のスイッチ、自転車のペダル、それがなくなれば重大な機能を失う重要な機器の一部品かもしれないという想像力が働かない。私などカメラや楽器など機材の部品、名刺、電話番号のメモ書き領収書など、非情な掃除当番によってどれだけゴミ箱に棄てられたことか。

と、また今回もぼやきで終わってしまった。

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寮内スポーツ大会の50メートル競走。

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 日本から送られてきたTシャツを着ている寮生。意味をわかって着ているのだろうか
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三輪隆

Author:三輪隆
1955年岐阜県生まれ。写真家・文筆家。タイ在住26年。さくらプロジェクト代表。

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