さくらプロジェクトのブログ

タイ北部チェンラーイで活動する山地民の子どもたちのための教育支援NGO「さくらプロジェクト」代表の三輪隆が綴るさくら寮での日々

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昼下がりの珍事

2009/08/28 19:56 ジャンル: Category:さくら寮日誌
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ある日の昼食時、男子寮の玄関先で、ありえない光景が展開していた。お腹がお椀のように膨らんだ臨月の女性が横たわり、脂汗を流しながら唸っていたのだった。女性はさくら寮生のジャクー君(中1・ラフ族)のお母さんだった。

お母さんはさくら寮から25キロほど離れたJ村に住んでいるのだが、畑仕事をしている最中に突然産気づき、旦那さんが急いで100CCのバイクの後部座席に妻を乗せて、ずぶ濡れになりながら山から下りてきたのだ。J村からの最初の6キロほどは車がやっと一台通れるぐらいの岩だらけの山道で、ふだんなら1時間で町まで降りてこられるが、雨期で粘土質の道がドロドロになると、バイクはスタックしたりすべったりで、2時間近くかかることもある。それにしても雨の中を出産直前の妊婦をバイクの後部座席に乗せて走るというだけですでに日本人の常識の範疇を超えているのだが、あの片側は谷底のドロドロ道でバイクが転倒したりしたらと想像するだけで、よく無事で降りてこられたものだと、冷や汗が出る思いだ。

airguitar.jpg 
女子の子たちによる仮装エアギター・ダンス。


さくら寮はJ村からチェンラーイ公立病院にいく途中に位置し、病院まではあ4キロほどの距離。お父さんはまず、さくら寮にいる息子のジャクー君を呼んで、付き添いと通訳をさせるために一緒に病院に連れて行こうと考え、寮の前でバイクを止めた。ジャクー君のお父さんもお母さんもタイ語ができないので、医師や看護士と話すには息子のタイ語力が必要なのだ。

ところがお母さんは男子寮の前で息子を待っている間に「もうダメ、生まれるー」とラフ語で叫んで寮の玄関前でごろりと横たわってしまった。ジャクー君が着替えをしている間、お母さんは「間に合わないから早くして! もう出るー。生まれるー」と叫びながら苦しそうに息んでいる。しかしここで産むからと言われても、まわりを取り囲んでいるのはにきび面の男の子ばかりで、医師も助産婦もいないし、産湯も沸かしてない。やはり病院でないと都合が悪いのではないか。

結局、先日自分の子どもが生まれたばかりのスタッフのラッポンが、さくらのピックアップトラックの荷台に乗っけて病院まで送っていき、ジャクー君のお母さんはまもなく無事に待望の女児を出産した。あのとき男子寮の前で出産していたら、名前は寮の名前をとって「ひまわり」に決定するところだった。

山地民の人たちも最近は町の病院で出産する人が増えてきた。政府の医療援助があるので公立病院ならば費用はほとんどかからない。しかし山の人たちは10年ほど前まではほとんどが村の自宅で出産していた。遠く離れた山の畑から家まで帰る猶予さえなくて、畑の出作り小屋で生まれてしまった赤ちゃんも多い。出産の直前まで畑仕事をし、出産後も子どもはじいちゃん、ばあちゃんに預けてすぐに働き出す。それが日常的な姿だった。

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ニューウエーブ和服のファッション・ショーもあった。


ところで、性教育のカリキュラムが未確立だった時代に育った私などは、性に関する知識は超オクテで、赤ちゃんはどうやったらできて、どこから生まれてくるかという事実を知ったのは、中学2年ぐらいになって悪友に教えられたのがはじめてだった。そのときのショックたるや、世の中にそんな理不尽で不潔なことがあってなるものかとしばらくは現実を受け入れることができなかった。その点、山地民の子どもたちはとてもませていて、7歳か8歳の少女でさえ生殖の秘密を知っている。しかもあっけらかんとしていて、寮の前で犬が交尾などしていると、みんなで指をさしてケタケタ笑っている。小さい頃から家畜の交尾や出産などを見慣れているからだろうか。コウノトリが運んでくるなどと信じている者はいない。 


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タイ・ルー族のろうそくの舞。

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夏恒例の日本人ボランティアによるお芝居の鑑賞会。今年の出し物は「おむすびコロリン」だった。子どもたちもねずみ役で共演。
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三輪隆

Author:三輪隆
1955年岐阜県生まれ。写真家・文筆家。タイ在住26年。さくらプロジェクト代表。

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