さくらプロジェクトのブログ

タイ北部チェンラーイで活動する山地民の子どもたちのための教育支援NGO「さくらプロジェクト」代表の三輪隆が綴るさくら寮での日々

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進化する訪日寮生

2012/11/01 16:57 ジャンル: Category:さくら寮日誌
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今年も10月2日から15日の2週間にわたり、毎年恒例の寮生訪日研修が敢行された。


今回はさくら寮出身のスタッフと1名と寮生3名、計4名が、千葉、東京、山梨、愛知の4県の里親宅でホームステイさせていただきながら日本の文化にふれ、里親や支援者の皆さんとの親交を深めた。10月6日、7日と東京日比谷公園で開催された恒例の国際協力の祭典、「グローバル・フェスタ」にも参加し、山岳民族の民芸品販売のお手伝いをした。

 

寮生の日本研修旅行には賛否両論がある。否定的意見の代表格としては、「この不景気のご時世に、貴重な運営予算を使って特定の寮生だけを日本に連れて行っていい思いをさせるのはけしからん」というもの。ちなみに日本での滞在費用はほとんどが支援者や里親有志のかたがたに負担していただいているので、こちらの負担はパスポートとビザの取得代そして、日本往復の格安航空券代ぐらいなのだが、それでもそれなりの出費はあることにかわりはない。

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だが私たちとしては、貧困で恵まれない境遇に生まれても、普通の家庭の子どもたちと比べてはるかに質素で不自由なさくら寮での生活に耐えて勉学に励めば、いつか日本に行けるかもしれないというモチベーションを子どもたちに与えられるだけでも、訪日研修の継続は意味があると考えている。日本での温かいもてなし、さまざまな体験は、本人はもちろん、あとに続く寮生たちにも語り継がれることで、きっと無形の財産として彼らの心に残っていくだろう。

 

2000年に始まったさくらプロジェクトの寮生訪日も今回で9回目。のべ
50名以上のさくらっ子たちが日本の地を踏んだことになるが、この12年間で様変わりを実感するのは、子どもたちの食に対する許容値の変化である。

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最初の頃、海外はおろかバンコクやチェンマイに行ったことさえなかった寮生たちにとって、2週間にもおよぶ異文化の地でのホームステイ生活は、楽しく感動の連続であると同時に、われわれの想像を超えるストレスも伴っていたようだ。言語習慣の違い、旅行バッグの扱い方からトイレの使い方、車酔いに飛行機酔い、人酔い、ホームシック・・・。旅行慣れしているバックパッカーならともかく、見るもの聞くもの出会う人、初めての体験ばかりとくれば、気疲れもかなりのものだ。


なかでも最大の難関は食生活だった。和食の味付けは基本的に甘い。香辛料が効いていない料理をタイ人は「味が薄い、味がない」と表現する。里親の方たちが奮発してどんなに高級でおいしいレストランに連れて行っても、「味がない」と子どもたちの食はなかなか進まなかった。刺身や寿司のみならず、洋食関係もあまり人気がなかった。基本的にはトウガラシが聞いていないとNGなのだ。ある年のグループなどは、どこの料理屋に連れて行ってもほとんど料理がのどを通らず、日々げっそりとやつれていくのが傍目にもわかった。そんな彼女たちにある夜、差し入れのママ―(タイ製の乾燥麺)を食べさせると、感涙にむせびながら、たちどころに数袋を平らげてしまった。日本人でさえうらやむような極上料理はまったく受け付けず、インスタント・ラーメンが至高の好物だなんて、ちょっと悲しくなるが、それほど子ども時代に染みついた食の嗜好から一歩を踏み出すのはむずかしい。日本人が和洋中、アジア料理全般、なんでもござれなのは、たとえ「もどき」ではあっても幼い頃から世界じゅうの料理に慣れ親しんでいるからに他ならない。


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しかし、ここ数年の訪日寮生たちを見ていると、和洋中を問わず、刺身以外ならけっこうなんでも食べるようになった。特に今回の寮生たちは好き嫌いが少なく、出されたものはきれいに平らげた。今回の寮生たちに特別食い意地が張っていたというわけでもない。おそらくこれはタイ国内における人々全体の食生活の変化と関係がありそうだ。



このところ、チェンラーイのような地方都市にもデパートや大手スーパーができ、そこにはマックもKFCもドーナツ屋もビザ屋もステーキ屋も日本料理屋も入っている。街のあちこちにもしゃぶしゃぶの店があり、ちょっと怪しげだけど寿司の屋台も並んでいる。食もグローバル化が急激に進んでいるのだ。


もうひとつ寮生訪日のたびにいつも感じていたのは私が勝手に「ティー・タイム問題」と呼んでいるやつである。これは以前にも書いたが、しつこくもう一度書く。それは日本人とタイ人とのコミュニケーションの作法の違いについてである。


ホームステイ先として引き受けていただいたホストのお宅はではたいてい、訪日の何週間も前から綿密な計画を立て、数日間という短い受け入れの期間中の食事のメニューからデザートの内容、それを出すタイミングまで細かく周到に準備されているケースが多い。

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たとえば食後、入浴後のひとときなどに、「お茶にケーキでもいかが?」とホストが切り出す。以前の訪日寮生たちは、「いえ、お腹はすいてないし、のどは渇いていないのでけっこうです」と断ることが多かった。日本人の感覚としては、ホストのこのような誘いは、たんに「甘いものが食べたいですか」とか「のどが渇きましたか」というだけではない。「お茶でも飲みながら、ちょっとお話でもしませんか?」という会話の誘いの気持ちが含意されているのだ。日本人同士であれば暗黙のうちに了解できるやりとりである。


お茶を断る寮生たちにしてみれば、お茶や洋菓子は苦手ということもあるし、遠慮のつもりもあるのかもしれないが、ここはせっかくわざわざ人数分のお茶菓子を準備していてくれたホストに配慮して、誘いに受けて立つのが日本的「おつきあいの精神」というもの。しかし寮生たちの属している文化圏にはそういう習慣はない。乱暴に言ってしまえば、相手の言葉の行間を読むとか、相手の立場に立って行動をするという発想自体があまりない。問題は自分が食べたいかそうでないかということだけである。文化の違いとはいえ、こういう姿を見るとちょっとがっかりする。



いつの頃からか私は訪日する寮生たちには「ホストの気持ちも汲んであげて、お茶の誘いには極力応じるように」とい通達を出すようになった。しかし、この件に関しても最近は心配無用で、みな紅茶もケーキもぺろりと平らげるようになった。ここ数年タイでもちょっとしたブーム。挽きたてコーヒーにおいしいケーキが食べられる店が街のあちこちに登場したりして、「喫茶」の文化が根づき始めているのだ。


それにしても、今回の4人は食べに食べたり。


日本滞在をあと数日に控えた頃、最後のホームステイ先の里親のかたから、「これまでに日本で食べた料理でもう一度食べたいものがあったらリクエストして」と問われると、寮生たちから間髪をいれず答えが返ってきた。


「しゃぶしゃぶ!」


「焼肉!」


おい、キミたち、贅沢なんだよ!


これからはもう少し遠慮の精神というのを教えなくては・・・。

 

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  みたらし団子をほおばる。

 

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プロフィール

三輪隆

Author:三輪隆
1955年岐阜県生まれ。写真家・文筆家。タイ在住26年。さくらプロジェクト代表。

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