さくらプロジェクトのブログ

タイ北部チェンラーイで活動する山地民の子どもたちのための教育支援NGO「さくらプロジェクト」代表の三輪隆が綴るさくら寮での日々

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ちいさなならず者たち

2013/03/17 00:49 ジャンル: Category:さくら寮日誌
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4年ほど前、息子が誕生することになったのを機にチェンラーイのさくら寮の近くに家を建てた。人生初のマイホームである。ただし名義は妻のもので、いつ大喧嘩して着の身着のまま追い出されるかもしれず、マイホームという実感はまったくない。

 ひとつだけ「自分の城」の証にとばかり妻の意向を無視して作ったのが、20畳ほどの音楽練習室(カッコつけて言えばスタジオ)だ。ここに15年ほどかけて集めたギターやドラム、キーボード、PA機材の数々を収納した。日本人オヤジバンドの練習も毎週ここでやっている。妻はその爆音が迷惑なのか、いつも白い目で眺めている。

 家は日本の建築家の友人の設計をもとに、地元の大工に施工を依頼したのだが、鉄筋コンクリートの柱のラーメン構造にレンガの壁というタイではオーソドックスな工法。少しでも音響特性をあげるために、1階の音楽室と居間、2階の寝室の床のみは木材のフローリングにした。タイは木材が高価でずいぶんと出費がかさんでしまった。

 ところが1年もしないうちにその床のあちこちで、板と板の継ぎ目のあたりがもっこりと膨らんできた。最初は乾期に乾燥していた木が、雨期を迎えて膨張したためにもりあがったのだろうと思っていた。タイでは雨季に木材が湿気で膨張しドアなどの立て付けが悪くなることはよくある。

しかしこの床の盛り上がり方はいくらなんでも膨張率が高すぎだし、湿気によるものならばもう少し均等に膨らんでいいはずだ。不審に思って旧知の大工(この家を施工した大工は新しい女を作ったとかで奥さんから家を追い出され行方不明になっていた)を呼んで調べてもらったところ、大工はため息をついて私を憐れむように見ながら、

「アチャン、これはシロアリですぜ、シロアリ」とつぶやいた。

「なに、シロアリ?」

 板を取り外してみると、おがくずと泥が混じりあったような物質がコンクリートの床との5センチほどのすきまをエイリアンのごとく埋め尽くし、疑うべくもないシロアリの巣だった。いったいどこから侵入したんだ。

実は家を建てる前、複数の人から、「シロアリ対策だけはしといたほうがいいですよ」と進言されてはいたが、コンクリートとレンガの家にシロアリ対策なんてと鷹をくくっていた。だが調べてみるとシロアリっていうのはとんでもない雑食性で、いざとなればコンクリートだろうが金属だろうがプラスティックだろうがなんでも食いかじって侵入してくるらしい。

まずは応急処置で、被害を受けた部分の板をとりはずし、駆除剤をまき、新しい板と取り換えた。その後新たな被害もなさそうだったので油断して事態を放置したのがいけなかった。

2度目の雨期が明ける頃、音楽室の楽器収納棚にしまってあったギター用のハードケースなどがカビ臭くなってきたため、清掃して天日に干そうと屋外に運び出すことにした。

IMG_0137_R.jpgオヤジバンド練習風景

 ギターケースを玄関まで運んでいるとき、どうもいつもより軽い気がしたが、玄関の外まできた瞬間、その長い立方体の黒いケースがパラパラと音を立てて崩壊し、木屑の塊が地面に落ちた。取っ手から下が一瞬にして灰になったような、よくあるアメリカのギャグアニメの一場面を見ている感じである。なんとギターケースの内部がほぼシロアリによって食いつくされていたのである。しかも私が所蔵するなかでもっとも高級なフェンダー・カスタムショップ製のギターケースが!ギターのハードケースは表面こそ合成樹脂のレザー張りだが内部は木製で、シロアリにとってはこの上ないご馳走だったのだ。

次にシールドやらエフェクターやらの機材の入ったダンボール箱を棚から取り出そうとするといきなり箱の底が抜けた。その棚にはいたるところに蛆虫のような白い生物が蠢いている。ダンボールの底が全部食い尽くされていたのだ。卒倒しそうだ。

さらに驚いたことに、音楽室の壁にしつらえてあった木製の機材棚の中央の柱の上のほうが樽状に膨らんでいる。もしやとおそるおそるその部分に手を触れてみると、またしてもパラパラと木の屑が崩れ落ちた。スポンジ状になった木材の繊維だけになってかろうじてつながっている状態である。つまり柱はほとんど空洞化していて、柱としての機能を失い、棚は崩壊寸前だった。

すっかり青ざめた私は、すべての機材を1階の音楽室から2階の別室に移動させた。1階の音楽室は防音性重視のために窓を少なくした結果、湿気が多い上に通気性が悪くなり、シロアリの格好の温床になっていたのだ。

居間の方も大枚叩いて買ったハイファイ・オーディオセットの棚の中がやられていて、センター・スピーカーの裏側が食い尽くされて泥の塊のようになっていた。

IMG_0495_R.jpgシロアリに食われた柱

自分に残される財産はこの家しかないと思っている妻はもはやパニック状態。ところかまわず狂ったようにシロアリ駆除剤のスプレーを噴射し始めた。密閉された音楽室にも大量に。悪いことにそれは日本人オヤジバンドの練習日の前日だった。

翌日、練習をしているうちに私は頭痛とめまいを覚え、ぐったりとなった。ボーカルのFさんは異様に興奮し、ベース担当の大学生T君が「三輪さん、今日は調子が悪いのか、指があんまりスムーズに動かないんですけど」と首をかしげている。

あとで妻が散布したという駆除剤を見たら「シペルメトリン」という合成ピレスロイド系の殺虫剤で、動物が摂取すると神経毒性や異常興奮などを引き起こすという。T君の指先が動かなくなったのは、薬による神経麻痺だったのか! あやうく私たちが駆除されるところだった。

ネットで調べてみるとシロアリ駆除剤にはいろんな種類があるが、多くはホームシック症候群と同様の副作用があるという。放射性物質を含むものもある。家を守るのが大事か、住人の健康が大事か、妻に問うたところで、答えは目に見えているが・・。

siroari4_R.jpg 
オヤジバンド、チェンラーイのホコ天でライブ決行

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三輪隆

Author:三輪隆
1955年岐阜県生まれ。写真家・文筆家。タイ在住26年。さくらプロジェクト代表。

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