さくらプロジェクトのブログ

タイ北部チェンラーイで活動する山地民の子どもたちのための教育支援NGO「さくらプロジェクト」代表の三輪隆が綴るさくら寮での日々

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新学期は繰り返す

2011/05/23 00:50 ジャンル: Category:さくら寮日誌
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 タイは新学期である。さくら寮でも毎年この時期は、てんやわんやである。さまざまな問題やハプニングが続発する。ハプニングといっても、毎年恒例の想定内の出来事なのでもう驚きはしないが。今年もやはり起こった。まるでデ・ジャ・ヴ(既視現象)でも見ているようだ。

 まずは14歳で中学2年進級する予定だったラフ族の少女C。学期休み中に結婚していた。相手は40代のバツイチの男だそうで、何やら怪しいビジネスで稼いだアブク銭で囲われたのではないかと勝手に想像してしまうが、うーむ、許可した保護者も何を考えているのか。

 学期休み中のある日、Cがひょっこり寮に現れて、部屋の自分の荷物をまとめて運び出していたので、問い詰めると、「来年度はもう寮にはいません。学校もやめます」という。では学校をやめてどうするのかと聞くと、「母親が病弱なので家にいて面倒をみなければならないんです」との答え。だが、彼女の母親が病気がちなのは今に始まったことではない。この時期に彼女が退学しなければならない根拠としては説得力に欠ける。あまりにも説明があいまいなので、あやしいとは感じていたが、やはりその時点ですでに結婚していたのだ。

14歳で結婚。そりゃまあ、初潮が始まったとたんに結婚しちまうというのは生物学的に見れば効率的といおうか、本能的な衝動に従ったある意味自然な行動なのだろうけれど、ラフ族においても、ここまで若くしての結婚は失敗と後悔に終わる確率が非常に高い。人生それぞれ、学歴を積むだけが幸せへの道じゃないとはいうものの、こうしてやめていった子の多くは、あとになって、あのとき早まって退学なんかしなきゃよかったと後悔したり、自分の運命を呪うはめになるのである。わかっちゃいるけどやめられない。一応説得は試みるが、彼女たちには一度決めたら自分の考えを曲げない頑固さがある。傍の誰にも止められない。過去にも先輩たちのそういう失敗例は飽きるほど見ているはずだが、自分だけは例外だと思ってしまう。他人の体験や失敗から何も学べない。まあ、前回からしつこく力説している、他者の存在を自己の存在の鏡として想像できないという一例である。


 高校2年のモン族の少女Rは、明日、姉が結婚するかもしれないので家に帰らせてほしいといってきた。寮に戻ってきてまだ3日なのに、また村に帰るというのだ。

「結婚するかもしれないって、どういうことだよ」

「あの、実は姉に外国人との縁談が持ちあがってるんです。明日はタイ人の結婚仲介業者がその外国人を連れて村に来る日です。外国人の男性は5人ぐらいきて、姉も含めて私の村の女の子たちとお見合いするんです」

 近頃は嫁不足の国に住む外国人に山岳民族の若い嫁を紹介する結婚斡旋会社があるらしい。ラオス国境近くにあるRの村にも、はるばるその集団見合いツアーの一団がやってくる。今回のツアーは日本にも近い某東アジアの国からだとかで、20歳のRの姉の写真やプロフィールは相手方にすでに送られていて、明日がいよいよ最終実物確認、本人同士の集団見合い(品定めといったほうが直截的か)が行われるらしい。

「だけど姉さんの見合いぐらいで、妹がわざわざ100キロも離れた村に帰ってつきそう必要もないんじゃないの」

「それが、もしおたがいに気に入って同意したら、その日のうちに結婚式になるんです」

 なんじゃ、そりゃあ。なんだかあやしい結婚斡旋システムだなあ。

「見合いに来たやつらが、お姉さんじゃなくて君のことを気に入っちゃったらどうすんだよ。 よくあるだろ。タレントのオーディションを受けるのに付き添いでついてきた友達のほうがスカウトされちゃうってやつ」

「いやだー、私まだ結婚なんかしませんよ。まだ17歳ですよ」

「いや、だからあぶないっつーの。その手のお見合いツアーの参加者って、嫁は若けりゃ若いほどいいって手合いばかりだからさあ」


「心配ないですって」

その後、Rは二度と寮に帰ってくることはなかった…という展開になると話のネタ的には面白いかもしれないが、Rは二日後に無事戻ってきた。お姉さんの結婚もまとまらなかったらしい。申し訳ないがなんだかほっとした。

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寮内の総選挙(?)によって寮のリーダーが選ばれた。


 今年は14名の新入寮生が入ってきたが、早くも入寮して2日目、中1の男子が夜中に脱走してそのまま退寮してしまった。村まで40キロの距離を歩いて帰ったという。こんなところにとうてい3年間もいられないと思ったのだろう。40キロ歩く根性があれば寮生活にだって耐えられると思うのだが。決断がはやすぎる気がしないでもないが、まあしょうがない。あきらめの速さも彼らは一流だ。

 在寮5年目を迎える小学5年のリス族の少女は、村から寮に戻ってきた数日間、泣いてばかりいた。単なるホームスックだとは思うのだが、心配した両親が迎えにきて、「悪霊がとりついているかもしれないので、村で悪霊払いの儀礼をやらなければならない」といって連れ帰ってしまった。入寮したら一ヶ月に一度しか帰宅することができないというさくら寮の規則も、泣く子と悪霊には勝てないのである。

まあ以上のようなことは日常茶飯事なのだが、今年はひとつだけちょっと深刻なニュースがもたらされた。小学4年生のラフ族女子、M(10歳)学期が休み中に村で体調を崩し、病院に担ぎ込まれた。極度の疲労感と呼吸困難で、一時は危険な状態に陥ったという。精密検査の結果、ASD(心房中隔欠損)という心臓病の一種であることが判明した。左右の心房を隔てる壁(心房中隔)に穴があく病気で、完治させるには、その穴をふさぐ手術が必要だという。チェンマイの病院に転送されることになった。心配だ。

chao51.jpg 
今年のさくら寮生たち。
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プロフィール

三輪隆

Author:三輪隆
1955年岐阜県生まれ。写真家・文筆家。タイ在住26年。さくらプロジェクト代表。

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