さくらプロジェクトのブログ

タイ北部チェンラーイで活動する山地民の子どもたちのための教育支援NGO「さくらプロジェクト」代表の三輪隆が綴るさくら寮での日々

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訪問販売にご用心

2008/11/28 19:00 ジャンル: Category:さくら寮日誌
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2008syugo_R.jpg 
今年のさくら寮生記念撮影。


ある平日の午後、二人のタイ人がさくらプロジェクトの事務所に入ってきた。ひとりは
30歳代後半ぐらいの小太りの色黒の女。もうひとりは40代の体格のいい男だった。

ふたりとも国王を敬愛する黄色いシャツを着て、首から顔写真つきの身分証のようなものをぶら下げている。つまり、一見タイの公務員もしくは勤め人風のいでたちである。

 女は応対に出た私の顔を見るや、なれなれしく私の名前を呼び、まるで昔から知っているような口ぶりでプロジェクトの近況などを聞いた。なんのことはない、私がスタッフに呼ばれて応接室に顔を見せるまでの1分ほどの間に、事務所の壁に貼られていた顔写真つきの組織図を盗みして私の名前と身分を確認してあっただけなのだ。 その一応きちんとした身なりとは裏腹に、女の物腰は見るからに品がなく、ずうずうしく、知性に欠け、口調も横柄である。いまどき、タイの地方役人でもこんな横柄な口の聞き方はしない。しばらく外で様子を見ていたもう一人の男があとからソファに腰をおろした。

ふたりはタイ観光○○協会からきました、と一枚のタイプされた文書を差し出した。上のほうにはガルーダのロゴ・マーク、最後には署名とサインがある。タイの行政機関などが発行する公式文書の典型的な書式で、タイの一般人民はこういう御触書文書を受け取ると「ははあ」とひれ伏しながら読まねばならないことになっている。最初はタイ政府観光局の関係の人かと思ったが、よくよく組織名を見ると、単なる民間団体のようである。

文書の内容と要件を簡単にまとめると「このたび来年の○月○日にチェンラーイの○○公園にて開催することになり、ついては、貴組織に賛同と協力をお願いしたく、つまりはこのイベントの入場券をまとめて買っていただきたい」というものだった。

入場券は1枚千バーツだという。バンコクあたりならいざ知らず、チェンラーイでは、一流ミュージシャンのコンサートだってそんな高い金をとらない。それを1枚だけでなく10枚まとめて買ってほしいというのである。1万バーツ! ようするにコンサートにこようがこまいが、協賛金というか寄付金をよこせという話である。

 「あの、うちは貧しい山岳民族の子供たちを援助している民間組織ですから、観光関係のかたがたから寄付をいただくことはあっても、こちらから寄付をできるようなお金は…」と丁重に断ると、男はかばんの中から書類の束を出してきて、領収書の控えみたいなものをちらちらさせ、チェンラーイに実在するNGO組織の名前を列挙し始めた。

「このあたりでは、○○、××、△△、▲▲・・・すべての組織から協賛金をもらっている。まだ寄付を出してないのはさくら、あんたのとこだけだな」

 本当かいな。うそに決まっている。もう最初の瞬間からこいつらのインチキくささは十分に見抜けてはいたが、あくまで対応は丁寧にというのがこちらでの基本。

「ああ、そうなんすか。でも、私個人の裁量じゃ、せいぜい200バーツぐらいまでしかご協力できないですよ。プロジェクトとしてまとまったお金を動かす場合は、スタッフ会議や日本事務局の承諾が必要なんです。200バーツなら、今、この場でお支払いしますよ」

そういうと、男はそんなはした金は受けとれないというように首を振った。そして威嚇的なドスの聞いた声で言葉を荒げた。

「あんたら、金もってるだろ。1万バーツぐらいの寄付、どうってことないじゃないか。わかってるんだ。あんたらの組織のことはよく調べてあるんだぜ」

「いやそう言われても、出せないものは出せないんですから。じゃあ、スタッフと相談して、後日、ご協力できそうかどうかをお答えするので、あなたがたのこの書類、預からせていただいていいですか。それに事務所の連絡先も」

ふたりはいら立っている様子だった。

「それはできない。今すぐに寄付ができないなら、書類は渡す必要ないだろう」

そういって男たちは私が手にしていた書類をひったくるように鞄に入れると、そそくさと帰っていった。帰り際、女性スタッフに「お前たちが寮を運営できないようにしてやるからな」という脅しのような捨て台詞を残していったという。

 いうまでもなくこれは詐欺未遂である。まあ、ぎりぎりのところで犯罪性を免れるために、いざとなれば形ばかりのちんけなコンサートぐらいは開くのだろうが、集めたお金の大半がこのイベントに使われることがないのは明らかである。彼らは自分たちの身分や連絡先に関する証拠を何も残すことなく去っていった。本当にまっとうな組織で堂々と協賛金を集めているなら、名刺やパンフレット、連絡先のひとつぐらい残していくはずだ。

タイでNGOとして子供たちの支援活動や寄宿舎の運営をするには、社会開発人間保護省への申請が必要で、許可を得るにはさまざまな条件を満たさねばならない。私たち外国人ボランティアも長期滞在ビザを取得するためには数々の書類をととのえて申請し、ボランティア活動の許可証を発行してもらわねばならない。だからタイのお役人には低姿勢にならざるをえない。件の詐欺はこのあたりの私たちNGO組織の立場と心理を巧妙についたものである。案の定、後日チェンラーイ市内で開かれた山岳民族支援のNGOの会合の席で、この詐欺団の話題が出た。額の差はあれ、どこもけっこうやられていることがわかった。

 さくらプロジェクトをはじめた18年前当時は、寮を訪ねてくる人といえば、学校の先生か寮生の保護者ぐらいのものであった。一般のタイの人との関わりなどなかったし、山岳民族の寮を訪ねてくるタイ人もまずいなかった。

しかし最近ではいろんな人がやってくる。インターネットでは自分たちのあずかりしないうちに個人や職場に関する情報がアップされているのだ。詐欺団のカモリストにも。

 詐欺とまでは言わずとも、怪しげな訪問販売のセールスマンがずけずけ押しかけてくることも多くなった。

まずは消火器。「消防署のほうからきました」という日本にもある古典的な商法だ。寮には消火器の設置が義務付けられているので、なければ法令違反になると脅かして、法外な値段の消火器を買わされる。続いて、家庭用浄水器。 先日やってきた浄水器のセールスマンは、許可を与える前にあっというまに勝手に台所に侵入してきて、すでにとりつけてある浄水器のフィルターを分解し、これはもう使い物にならないからすぐに新しいものと交換したほうがいいと自社商品を勧め始めた。余計なお世話だと突っぱねると、逆切れした販売員はとりはずしたフィルターを元に戻すことすらせず、いまいましげに去っていった。 ほかにも万能掃除機、警報システム、衛星アンテナ…。すべてそうだとは言わないが、市販の商品の何倍もする上に品質も劣悪なものが多い。

 NGO関係者のかたがただけでなく、タイのロングステイヤーの皆さんもどうか、突然の訪問者にはくれぐれも気をつけていただきたい。日本人を狙った寄付金詐欺、振込め詐欺、タイの役人や警察、税務署、公共料金徴収人などを語った詐欺がこれからも急増すると予想される。まあ、怪しい相手と感じたら、下手にタイ語がわかったふりをせず、日本語だけまくしたてて追い返すのが賢明かも。

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本文とは関係ないが、11月にはNHKのハングル語講座にレギュラー出演されているタレントのノーマさん(右)も来寮。

 

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プロフィール

三輪隆

Author:三輪隆
1955年岐阜県生まれ。写真家・文筆家。タイ在住26年。さくらプロジェクト代表。

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