さくらプロジェクトのブログ

タイ北部チェンラーイで活動する山地民の子どもたちのための教育支援NGO「さくらプロジェクト」代表の三輪隆が綴るさくら寮での日々

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雨季の運動会

2008/09/10 18:46 ジャンル: Category:さくら寮日誌
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9月6日(土曜日)。朝8時。近くの小学校の校庭をお借りして、恒例の寮内スポーツ大会が開幕した。2日間にわたって、さくら寮生とエコホーム寮生、スタッフあわせて約165名が、青、黄、赤、紫の4つの色のチームに分かれて球技や陸上競技、ゲームなどにしのぎを削る。

しのぎを削るといっても、他の寮との対抗試合と違って、ふだんは寮内で同じ釜の飯を食う仲よし同士での戦いなので、どうしても闘争心というかモチベーションが希薄になりがちで、ムードは全体に生ぬるく、正直ここ数年は盛り上がりに欠けていた。

しかし、今年はいつになく寮生たちのテンションが上がっている。というのも、数日前から、東京の芝浦工業大学の畑聰一教授はじめ畑研究室の学生さんたち十数人が山岳民族の集落調査の拠点としてさくら寮に宿泊中で、休日を利用してそれぞれのチームに分かれてさくらの子供たちに交じって参加してくださることになったのだ。外部からのお客さんが加わり、しかもそれが年の近い若いお兄さん、お姉さんたちとなれば、子供たちもハッスルしないわけにはいかない。共同体にしても経済にしても文化にしても、やはり定期的に「外部の血」を加えないと活性化しないということだ。身内だけでちまちまやっていると、モノごとはじり貧になっていくばかりだ。

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9月初旬といえば雨期の真っただ中である。北部の各地では集中豪雨による洪水のニュースも入ってきている。この2日間の降水確率は100%との予想である。この日も朝から雨模様だった。しかし、なぜか8月から9月にかけてのスポーツ大会開催はさくらの伝統行事のようになってしまっている。

「なぜ、9月の雨季のさなかに運動会をわざわざやるんですか」と日本からやってきた畑教授も怪訝そうな顔をして私に質問される。もっともな疑問である。しかし、やがて展開される光景に、その疑問は溶解するであろう。雨期には雨期の楽しさがあるということがわかってくるのだ。

2日目も朝がたから激しい雨。たちまち校庭は田植え直前の苗代のような状態になった。雨水を含んだ芝生はやがて荒れてドロドロ、ヌルヌル地獄と化し、泥サッカーに泥バレーボール、泥タクロー大会である。ボールを追いかけては転び、シュートを打っては転び、ほとんど泥レスのような感じになる。開き直れば快感だ。

さて、芝浦工大とは、1991年にさくらプロジェクトが発足する以前からのおつき合いだ。畑先生が毎年学生さんとともに山岳民族の集落調査にこられ、私はそのたびに通訳兼コーディネーターとして村に入るようになった。それがきっかけでさくらプロジェクトが設立されたというわけだ。

その畑研究室も徐々にその研究のフィールドをマレーシアやネパール、ラオスなどに広げていったため、しばらくタイからは足が遠ざかっていた。学生さんもここ数年はほとんど訪れなかった。が、来年3月に畑先生が芝浦工大を退官されるということで、最後の調査地として、出発点となったこの思い出の地(?)タイを選ばれたのだ。
 
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ひさびさにやってきた若い学生さんたちとの交流に寮生たちは大喜びだった。球技大会では、チームごとに寮生と学生さんたちが、ものすごい連帯感を育んでいった。ホールでの交流会でのコンサートも途中から学生さんと寮生がステージに乱入してディスコ大会になった。学生さんのほうもすっかりさくらっ子の素直さと笑顔が気に入ってしまったようだ。ちょっと美化されすぎていて面映ゆいが、学生さんたちがチェンラーイを去るときに私に託していった手紙の一部を紹介しよう。

「さくらのみんなへ。私は今回、初めてタイに来ました。正直、不安で、戸惑うこともありました。しかし、みんなの笑顔が私の不安をどうでもいいものにしてくれました。今では日本に帰るのが悲しいくらいです。さくらのみんなは本当にやさしく素晴らしい人間です、私はみんなから多くのことを学びました。本当に、本当にありがとう。タイにはさくら寮というところがあり、そこには素晴らしい子どもたちがいて、まるで夢のようなときを過ごせるところがあること。私はそのことを日本に帰ってみんなに話したいと思います。大人になったらぜひ日本にも遊びに来てください。それではみんなとまた会える日を心待ちにして、日本に戻ります」

「さくら寮生とスタッフのみなさんへ。2週間の間、このさくら寮ですごさせてもらいました。はじめは不安や戸惑いが大きかったですが、みんな、こんな僕に対して温かく、そしてすごくやさしく接してくれたのが、とてもうれしかったです。さくら寮にきてみんなと過ごした日々は、僕の今後の人生の糧となるでしょう。ここにいた日々は一生忘れません。思えば、いろんなことがありました。歓迎会で僕たちもステージに上がり、一緒に踊ったり、スポーツ大会のバレーボールで泥だらけになったり、みなで歌を歌ったりしましたね。なにげないさくらでの日常も含め、全部がかけがいのない思い出です。本当にありがとう。そして、三輪さん、カンポンさん、ミボヤイさんをはじめ、スタッフのみなさんには僕の一生分を使い果たしても返せないぐらいお世話になりました。それでもいつか恩返しをできるようになれたらと思います。最後にさくらの寮生とスタッフのみなさん、本当にありがとうございました」

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正直、私自身、学生さんたちがこんなにさくら寮にハマるとは予想していなかった。

一方で教授は、学生たちが予想外にさくら寮にのめりこみすぎて、村での調査のほうがおろそかになったのではと、やや渋い顔。学生さんたちに「悪乗りしすぎだよ、お前たち」と苦言を呈する一幕も。

 学生たちが日本に去る日、寮生たちは涙、涙の見送りになった。

「おい、おまえたちそんなに愛情に飢えてたのかよ。まるでふだん、スタッフから愛されてないみたいじゃん。それに里親のかたとか、しょっちゅう訪問してくださってるのに」と私。

「だって、いつも寮に来るのは中年のおじさんおばさんばかりでしょ」と寮生のひとり。

そうか。どうりでおじさん、おばさんがきたときとはテンションが違うものな。やっぱ、ぴちぴちした若い人じゃないと熱烈歓迎とはならないのか。現金なやつらだ。

「でもな、お金を援助してプロジェクトを支えてくれるのはどっちかっていうと、そのおじさん、おばさんのほうだからな。そのへん、わかってんだろうな」と念をおしておいた私だが。

 
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写真1:開会式のアトラクションで出てきた寮生お笑いコンビ。

写真2:田植え風景ではない。風船渡しリレーのスタート。

写真3:急きょ出現した競技。水中鬼ごっこ。

写真4:泥の中のPK戦

写真5:泥の中のバレーボール。

写真6:顔が似ている寮生と日本の学生。たちまち仲良しに。

写真7:リレー大会のアンカーも学生さん。チョー本気で走っていた。

 

 

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プロフィール

三輪隆

Author:三輪隆
1955年岐阜県生まれ。写真家・文筆家。タイ在住26年。さくらプロジェクト代表。

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