さくらプロジェクトのブログ

タイ北部チェンラーイで活動する山地民の子どもたちのための教育支援NGO「さくらプロジェクト」代表の三輪隆が綴るさくら寮での日々

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スタッフ慰安旅行ラオスふたたび

2008/05/28 18:34 ジャンル: Category:さくら寮日誌
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laostrip.jpg  
旅を終え無事フエサイの船着き場に帰還したさくらのスタッフたち。




5月初旬、今年も女性陣の要望(要求?)によって、スタッフ慰安旅行が敢行された。この原油高による物価高騰の折、今年はなんと外国旅行である。といっても、パスポートと20バーツの渡し舟料があれば誰でも行けるラオス北部への陸路の旅。一応外国とはいえ、プーケットやサムイ島に行くよりずっと安上がりなのである。

当然予算は限定されているので、最安ゲストハウスに最安レストランを選び、行先は、ふところ具合と相談しながらその日その日の気分次第で決定するという、半分バックパッカーのような迷走サバイバル旅行である。文句だけは一人前につけるがまったく主体性がなく旅慣れてないタイ人スタッフをぞろぞろ引き連れて、運賃やホテルの交渉をしなければならないという過酷なツアコンの任務を命じられたのは、去年、巨大ラーメンを3杯食べたらただの店に挑んで命を落としそうになった辺境旅行オタクの茅賀宏君(仮名)である。


LPscene.jpg 
ルアンパバーンの町並み

まだパスポートを取得していないスタッフ2名を無情にもチェンラーイに置き去りにして、さくらスタッフ8名一行は、車をチェンコンで預け、舟でフエサイに渡り、入国手続きの後、ミニバンをチャーターして、一路、中国との国境の町、ボーテンに向かう。

つい3年前、オンボロバスで12時間もかかってたどりついたフエサイールアンナムター間の道路は、今や完全に舗装され、3時間ちょっとで走破できるようになっていた。これには正直、感動した。

ボーテンの後に行ったルアンパバーンの変貌にも驚いた。前回私がこの古都に来たのは9年前のことである。シーサワンウォン通りになんと1キロにもわたって延々と続く巨大なナイトバザールができていた。が、このナイトバザール、なんだか奇妙である。閑散としていて客より売り子の数のほうが多いうえに、なおかつ異様に静まり返っている。裸電球の薄暗い照明の中で、ほとんど音のない沈黙の世界である。街が世界遺産に指定されて、電飾や拡声器の使用が規制されているのだろうか、なにか、たとえば宮崎駿のアニメ『千と千尋の神隠し』の世界に迷い込んでしまったような、幻想的な夢の中にいるような感じがした。

いろいろ変化はあるものの、それでもまだ、ラオスの女性たちは素朴なイメージを残している。学校の女子生徒の制服もまだサロンを死守していて実によろしい。

さて、昨年のメーホンソン旅行でも露呈されたわがさくらプロジェクトの女性スタッフたちの問題は、車に弱いこと、それに異文化の世界に基本的にほとんど無関心であるということであった。

すなわち、車に乗り込む→ほどなくして眠る→車が止まる→飯の時間がきたことを理解し車から降りる…という極めて条件反射的な行動を繰り返すのみで、車窓から変わりゆく風景を眺めてしみじみと旅情を味わうという贅沢をすでにあっさりと放棄している。

慰安旅行とはいえ、せっかくの外国旅行の機会なのであるから、貪欲に物事を観察し、異文化体験からなにかしらスタッフに学んでほしいと思っている私としては、不満である。

lantenyao.jpg 
ルアンナムター近郊のランテン族の少女。

で、行く先々で女性スタッフに質問を浴びせかける。

「どうだね、ラオスを旅しての感想は?」

「どうって、市場とか見てもハエがたかっててあんまり衛生的じゃないし、遅れてるって感じよ」

「食事だって、タイと比べたら高いうえに、おいしくないわ」

「それだけかい」(ガクッ)

「うん」

「あのさー、なんか他に気のきいた感想はないわけ? そこで生活している人の表情や様子がタイとどう違うかと   か」

「別にー」

「水牛や素っ裸で走り回る子供たちの風景に、失われたよき時代のタイの面影を感じるなあとか、貧しくても少女たちの瞳は輝いてるぜ、とかさあ」


 「そんなのあなたの思い込みよ」(ガクッ)


 私としては山地民出身であるさくらのスタッフたちに、伝統文化の大切さを再認識し、自分たちが突き進んでいる文明社会の愚昧さについて真摯に反省し、民族としての誇りと品格を取り戻すべく決意を新たにしてほしいなどと期待していたのであるが。


 ルアンパバーンに滞在中、夕方になって宿泊していたゲストハウスに、ラオ人の十代の美少女たちが大挙して入ってきた。ちょうど、このゲストハウスのレストランにタイ人団体ツアーが予約を入れていて、地元の中学生、高校生の少女たちがラオ族の舞踏をステージで披露するのだという。少女たちは、ゲストハウスの庭を楽屋代りに、お化粧や着替えを始めた。私は2階のベランダからその様子を眺めていた。

「えらいだろ。タイのワイルン(若者)たちが金と暇にあかせてパソコンゲームとかチャットとかケータイとかにうつつを抜かしてるときにだな、こっちの女の子は、こうやって民族衣装を着て伝統芸能でアルバイトをして親を助けてるんだよな、きっと」

などとさくらの女性スタッフに御託を述べていた矢先、ステージ本番10分前ぐらいになったときのことだった。

なんと、ラオ人のギャルたちがブラウスの胸ポケットからいっせいに携帯を取り出し、カバーを開け、一心不乱にキーボードを操作しはじめた。本番前に、友人や彼氏からのメールの最終チェックなどをしているのだろうか。ベランダから見下ろすと、暗闇の中で十数個の携帯の鮮やかなカラー液晶モニターだけが蛍のように妖しげに輝き、それはまるで近未来SF映画のような光景だった。

ラオスよ、おまえもか!

LPnightbazar.jpg


ルアンパバーンの静寂のナイトバザール。

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プロフィール

三輪隆

Author:三輪隆
1955年岐阜県生まれ。写真家・文筆家。タイ在住26年。さくらプロジェクト代表。

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