さくらプロジェクトのブログ

タイ北部チェンラーイで活動する山地民の子どもたちのための教育支援NGO「さくらプロジェクト」代表の三輪隆が綴るさくら寮での日々

スポンサーサイト

--/--/-- --:-- ジャンル: Category:スポンサー広告
TB(-) | CM(-)Edit

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

タイ流写真術

2007/01/30 18:35 ジャンル: Category:さくら寮日誌
TB(0) | CM(0) Edit

engeihaku5_R.jpg タイの人のお花畑における正しい写真の構図


ちょっと古い話題になってしまって申し訳ないが、1月初旬、さくら寮の子供たちを連れてチェンマイで開催中の国際園芸博を見学に行ってきた。さくら寮としては8年ぶりぐらいの遠足である。簡単に遠足といっても、数人のスタッフで子供140人を引率して行くというのはなかなか大変な作業である。

ふだん大型バスに乗りなれていないので、すぐに車酔いする。小便が近いので、いたるところで緊急停車しなければならない。女子たちには緊急時に路上でいつでも用が足せるよう、プリーツ式ロングスカートの着用を奨励した、というのは冗談である。(モン族のおばさんたちは村の中でよくスカートをはいたまま立って小便をしていたっけ)

案の定、チェンマイにつく頃にはバスの中はゲロの海と化し、そのゲロの匂いでさらに酔うというゲロ二次感染者も出て、大騒ぎだった。

出発前、子どもたちが、園芸博にもって行きたいので私にカメラを貸してくれと言ってきた。私はカメラマニアである。カメラならいくらでも持っている。といっても残念ながらこのごろ流行のデジカメは2台しかなく、あとはフィルム式のアナログカメラである。要するに貧乏性で、もう使わなくなったのに捨てられないでいるカメラがいっぱいもっているのである。そんな私も、少しでも金になるならとそれまで使っていたアナログの一眼レフカメラをチェンライの中古カメラ店に売りに行ったことはある。しかし、ボディ3台、レンズ3本、フラッシュ2本(新品購入時総額70万円以上)の買取総額が、2000バーツと見積もられ、逆上して帰ってきた。馬車馬のように働き、思い出のたくさんつまった愛器が2000バーツと聞いて、急に不憫になったのである。まあ現実は、さすがチェンライでも、アナログカメラをこれからやろうというような酔狂な人はいないのであろう。

IMG_3621_R.jpg

しかし、子供たちはアナログカメラでもかまわないから貸してほしいという。おう、この謙虚な姿勢! カメラを捨てたり叩き売らないでとっておいてよかった。ふたたび喜んで使ってくれる人が現れたのだ。

「じゃあ、フィルムもおまけして貸しちゃうから、みんな園芸博では、きれいな花、珍しい植物を見つけたら、バシバシ撮って来るんだよ」と送り出した。

 さて、その園芸博であるが、当初はどうせ「ナイトサファリ」などとおなじで評判倒れに終わるのではと噂されていたが、どうしてどうして、予想をはるかに超える人出で、年末年始は前売り券もすべて売り切れとか。南タイ、イサーン、タイ全土からの団体客も連日観光バスを連ねてどっと押し寄せているのだ。外国から来た旅行者でさえ当日券も買えずにあきらめて帰っていかざるをえないほど連日満員札止め盛況ぶりらしい。 私たちもやっとのことで団体入場券150枚分を確保したのだった。

入場してみて、人気の理由がわかったような気がした。これはまさに、タイ人のタイ人によるタイ人のための、どこからどこまでタイ人好みのイベントなのだ。いたるところに美しく手入れされた庭やお花畑があり、その前でみなさん、記念写真を撮っている。

タイの人の観光の三種の神器といえば、滝、温泉、お花畑である。

タイ人ほどお花畑の前で写真を撮りたがる人々を私は見たことがない。花畑の前に立てば、10人中9人までは、パブロフの犬のごとく写真を撮るという行為に走るのである。しかもお花と一緒に写真を撮るなんてものではなく、お花をバックにフレームのど真ん中を占拠し、ドーンときめのポーズをとるのだ。あくまで主役は自分で、花は引き立て役、人物が写りこんでいない写真は写真にあらずとといった感じ。花だけをしみじみと撮るというような自然愛好家は、まず100人にひとりぐらいしかいない。

 案の定、園芸博から帰って、さくらの子供たちが撮影した写真を見せてもらったら、数百枚すべてが、自分たちが中央に陣取ってピースサインやらポーズをとっているものばかりだった。しかし、なんでみんなこんなにナルシストばかりなんだ?

先日など、中3の寮生数名が、卒業前に友達と写真を撮りたいからデジカメを貸してくれといってきた。そしてものの2時間もしないうちに、メモリーカードいっぱいの360枚を撮りきってきたのである。すべて自分たちが派手な衣装に着替えてファッションモデル風のポーズをとっている写真だった。この撮影枚数はいったいなんなんだ。35ミリフィルムに換算して10本分じゃあないか!

フィルム時代から 写真を撮っている私たちにとっては、ワン・シャッターはとても重いものである。リバーサルフィルムなんかは36枚撮り1本で現像代を含めると1600円もかかったのである。だから構図からアングル、露出に至るまでワンカット、ワンカットに気を使いながら、慎重にシャッターを押したものだ。

だが、いくらでも消せるデジカメというのは、安易にシャッターを押すから、マグレでいいものは撮れても写真の腕は上達しないぞ、などと説教してみても無駄である。そもそも、しかし子供たちは写真がうまくなりたいなんて思っているわけではない。芸術的な写真が撮りたいと思っているわけでもない。彼女たちにとって、うまい写真、下手な写真の区別があるのではない。自分が写っている写真とそうでない写真の区別があるだけなのだ。


hmongdance_R.jpg 

nariswimon.jpg 

寮内演芸会にて」

 
スポンサーサイト

プロフィール

三輪隆

Author:三輪隆
1955年岐阜県生まれ。写真家・文筆家。タイ在住26年。さくらプロジェクト代表。

カレンダー
12 | 2007/01 | 02
- 1 2 3 4 5 6
7 8 9 10 11 12 13
14 15 16 17 18 19 20
21 22 23 24 25 26 27
28 29 30 31 - - -

検索フォーム
ブロとも申請フォーム
QRコード
QR

上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。