さくらプロジェクトのブログ

タイ北部チェンラーイで活動する山地民の子どもたちのための教育支援NGO「さくらプロジェクト」代表の三輪隆が綴るさくら寮での日々

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タイのエリマキトカゲ

2004/10/24 15:56 ジャンル: Category:さくら寮日誌
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 タイのエリマキトカゲ

前回はタイ製のウルトラマンの話をした。

ウルトラマンのDVDを探す過程で、同じソムポート・センドアンチャーイ監督による特撮作品「キンカー・ガイヤシ
ット」(エリマキトカゲの大冒険)という映画のCVD化されたものも手に入ったので、ついでに見た。これがまた、「ハヌマンと7人のウルトラマン」に輪をかけた馬鹿馬鹿しさで、腹をかかえて笑ってしまった。

この映画、なぜかタイ人気ロックバンド、カラバオの大ヒット曲「メイド・イン・タイランド」(1984年)という歌をバックに、エリマキトカゲがローラースケートをはいてバンコクの高速道路を疾走するという、ほとんど意味不明の冗長なシーンから始まる。

ウルトラマン・ファミリーがある日突然、アダムスキー型のUFOに乗ってバンコクの暁の寺上空に現われる。このウルトラ一族は悪党で、暁の寺(ワット・アルンなのだが、映画の中では「ワット・チェン」になっていた)の地下に眠る秘宝を強奪にきたのだ。秘宝番のエリマキトカゲだが、のんきに居眠りなどをしていて、まんまと秘宝をウルトラ一族に奪われてしまう。それを知った寺のヤク(寺を守っている鬼神)は秘宝を取り戻すために空を飛んで追いかけていく。ヤクが三段跳びの最初の「ホップ」のような姿勢で飛んでいる姿は、まるでタイの伝統影絵「ナグ・タルン」のように静止したままである。

ドジでのろまなエリマキトカゲはその後、寺を出てバンコクのクローン(運河)沿いをさまようのだが、そこでエリマキトカゲの密猟にきていた男達に追いかけられたり、獰猛な人食いワニと格闘したりしてドタバタ劇を演じる。このあたりはタイ伝統のナグ・タロック(コメディ映画)の典型的パターンである。ワニは最初のシーンでこそ、バンコクのワニ園あたりでレンタルしてきた本物を使った実写なのだが、たぶん撮影途中で本物は危なすぎて手におえないとわかったのだろう、以降は、できの悪いちゃちな張りぼてが使用されている。でも、水中セックスしていた豊満な乳房を持った全裸の女がワニに食い殺されるシーンなどはちょっと子どもには見せられないようなエログロで、変にリアルで生々しい。

一方、天上ではヤクがウルトラ・ファミリーと壮絶な戦いを繰り広げているのだが、このシーンはほんの数分しかなくて、ほとんどはエリマキトカゲと人間、エリマキトカゲと人食いワニとの地上戦に終始する。「ハヌマンと7人のウルトラマン」に比べると、製作予算はかなり縮小されているようで、特撮よりも実写の割合のほうが多くなる。ロケもアユタヤの遺跡とかクワイ川鉄橋付近とか、近場ですませている。しかもここではウルトラ・ファミリーは単なる脇役になりさがってしまっている。

 「キンカー・ガイヤシット」は日本でエリマキトカゲがブームになった1984年か1985年頃(カラバオの「メイド・イン・タイランド」が挿入歌になっているので少なくとも1984年以降であることは確か)に製作されたと思われるこの映画だが、ひとつ気になることがある。

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 「ハヌマンと7人のウルトラマン」は1974年の作品で、タイではちょうど学生などの知識層を中心にした反日、排日運動がピークを迎えていた時期だ。1973年の10月6日には「血の日曜日事件」、それから翌年1月9日には田中首相訪タイ反対デモ、日本製品ボイコット運動などがおこっている。しかし、映画の中ではハヌマンとウルトラマンは手に手を取って闘っており、怪獣をやっつけたあと、ハヌマンがウルトラマンたちと握手をして日本語で「ありがとう」などと言っている。

 ところが、反日運動も下火になったはずの1980年代に作られた「キンカー・ガイヤシット」になると、ウルトラ・ファミリーは、タイの財宝を強奪する悪党に変貌しているのだ。かつて悪玉だった怪獣が善玉になるというパターンは日本にもあるけど、その逆ってのはあんまり聞いたことがない。ウルトラマンが日本の象徴だとすれば、「日本人=悪役」ってことか。このあたり、ソムポート・センドゥアンチャーイ監督の対日感情は10年たって微妙に変化を遂げているのだろうか。著作権問題はこの頃からこじれ始めていたのだろうか? 

映画の主題歌的地位を占めているカラバオの「メイド・イン・タイランド」は、当時タイで氾濫していた日本製品や似非日本製品に対する皮肉の意味がこめられた、プロテストソングである。この歌が主題歌になっていること自体、象徴的である。

さて、この映画に登場するような、いわゆるエリマキトカゲというのは、実はタイにはいない。生息地はニューギニアやオーストラリアである。まあ、バンコクのチャトチャック(ウィークエンドマーケット)では売られているらしいが、あそこは何でもありだから。おそらく、ソムポート監督がエリマキトカゲをキャラクターとして選んだのは、当時の日本のエリマキトカゲ・ブームをあてこんでのものだったと思われる。もしかして日本での公開も考えていたのか? 

タイにも、エリマキトカゲのように二本足でユーモラスな走り方をするトカゲ類はいて、「キンカー」と総称されている。さくら寮の周辺にもけっこういて、木の幹などにへばりついている。とさかのようなトゲトゲがあり、イグアナの甥っ子みたいな姿をしている。保護色が得意で、ブロンズ像のように青くなったり、枯れ木のように茶色くなったりする。近くで見るとけっこう不気味である。

不気味であるといえば、家の屋根裏などに住み着いているオオイエヤモリ(いわゆるトゥッケー)もまた奇怪な形相をしている。大きいものは40センチ~50センチにもなり、出会い頭に手をのばしたて、がぶりと噛み付かれた人もいるそうだ。昼間は屋根裏などに隠れていて、夜になると、蚊や小昆虫などの獲物を求めて行動する。

タイではトゥッケーが一度に7回続けて鳴くといいことがあると信じられており、私もよくトゥッケーが鳴き出すとその回数を数えていたが、これまで7回なくトゥッケーに出会ったことがなかった。いつだってせいぜい5、6回どまりだった。

ところが今年になってわがさくら寮に住み着いたトゥッケーは威勢がよく、7回、8回と立て続けに鳴き、ちょっと休んでまたすぐに3、4回鳴くというつわものだ。ただし、7回鳴いた日でも、わが身にいいことはひとつもない。

最近その姿をついに写真に撮ることができたので、紹介する。体長は約25センチ。人間でいったら青年期ぐらいだろうか。まだまだ大きくなりそうである。

7回鳴くトッケー

アカ族3人娘補正

アカ族の寮生たち
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タイのウルトラマン

2004/10/05 15:37 ジャンル: Category:さくら寮日誌
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子供たち2補正 さくらエコホームの子どもたち

  さくらプロジェクトの関係者であるHさん(私とほぼ同年代)は、大の映画ファンで、その渉猟の対象は洋の東西を問わず、また大作、駄作、名作、問題作を問わず、小津安二郎、ジャン・リュック・ゴダールから第三世界の入手さえ難しいマニアックな作品まで幅広く収集している。そのHさんから「ハヌマンと7人のウルトラマン」(ソムポート・センドゥアンチャーイ監督・1974年)というタイ映画のDVD化されたものを何とか手に入れてほしいという指令が私のもとに入った。

 Hさんのためなら、草の根をかきわけても探さねばならない。

 まず、チェンラーイのレンタルビデオショップを探してまわったが、そんなものはどこにもおいてない。れっきとした円谷プロ製作のものはあるのだが、タイ製のウルトラマンなんて・・・・・・。タイ人の店員さんからも鼻で笑われた。なにしろこれ、30年も前の作品らしい。古典など見向きもしないタイの人がそんなものを見たいと思うわけがない。そもそもそんな古い作品、DVD化などされているのだろうか。

 インターネットのタイ語の検索サイトで、タイトル名を頼りにいろいろ検索をかけたのだが、案の定、まったくヒットしなかった。日本語の検索サイトで検索したら、ソムポート・センドアンチャイ氏と円谷プロの著作権をめぐる裁判記録にいきあたり、ソムポート氏の作品を制作している会社がチャイヨー・フィルム・カンパニー・リミテッドであることはつきとめた。電話番号を調べてスタッフのカンポンに電話してもらうと、この作品はDVDとVCDが販売されており、バンコクの大手DVDショップなどには置いてあるはずだとの返事。そこでバンコクで俳優業をやっているカンポンの弟さんに頼んで、バンコクのショップをいろいろあたってもらったのである。苦労はしたがなんとか入手できたようで、EMSで郵送してくれた。

 さっそく、カンポンと一緒に観た。あまりのキッチュさ、低俗さ、支離滅裂さに、ふたりで腹を抱えてげらげら笑ってしまった。
「ハヌマンと7人のウルトラマン」は英語のタイトルは 「HANUMAN vs 7 ULTRAMANS」になっており、ウルトラマンとハヌマンが一戦交えるのかと思いきや、ウルトラマンとハヌマンは仲良くタッグを組んで怪獣達と闘うのだ。ちなみにウルトラマンはタイ語では「ヨード・マヌット」(超人間)という。

  ストーリーはいたって単純で、遺跡から仏像を盗み出そうとしていた泥棒を追いかけたために、泥棒たちに射殺されてしまった少年を、ウルトラの母が救い、巨大なハヌマンに変身させる。ハヌマンとはインドの叙事詩「ラーマーヤナ」に出てくるラーマ王の部下である白猿神であるが、映画の中でウルトラマンと並ぶと、まるでタイ版「大魔神」という感じである。

 さて、このハヌマンが科学捜査隊(モドキ)の基地の地下から唐突に現われた怪獣たち4頭と格闘をはじめるのだが、多勢に無勢で苦戦しているところに、ウルトラ6兄弟が宇宙から加勢にやってくる。ウルトラ・ファミリーは総勢6人(タイトルは「7人のウルトラマン」になっているが、これは留守番をしていたウルトラの母の含めた人数らしい)でハヌマンを含めると7人になるので、完全に数的優位にたち、最後に1匹残った怪獣などは、ウルトラ兄弟達によってたかって袋叩きにされる。ほとんど中学生のいじめの現場を見ているような雰囲気で、妙に怪獣に同情したりする。

 科学捜査隊のハヤタ隊員風のコスチュームの2人の青年も出てくるが、この2人の狂言回しは、タイ風のボケと突っ込みのドタバタギャグを演じるだけで、ウルトラマンに変身したりしない。科学捜査隊のコスチュームとヘルメットは、ハヤタ隊員というよりも、日本テレビの「元祖ドッキリカメラ」の野呂圭介という感じだ。

 フィルムライクな古典的特撮テクニック、「2001年宇宙の旅」の最後のあたりを見ているようなサイケデリックな画面、ま、1970年代初頭の特撮タイ映画と考えれば、かなり健闘しているとはいえる。映画評論家の四方田犬彦によれば、監督のソムポート・センドアンチャイは、黒澤明が『天国と地獄』を撮っていた時、砧撮影所に留学していたそうで、撮影所では、円谷プロが『キングコング対ゴジラ』を撮っていたとのこと。ソムポート氏は『ウルトラ6兄弟VS怪獣軍団』の脚本にも参加しており、日本を去るときは、「タイ映画のためにがんばれ」と黒澤明から色紙ももらったそうである。そんなソムポート監督、そのころは大の日本びいきだったのだと思うが、その後、円谷プロとの著作権契約問題でこじれ、裁判沙汰にもなった。

 ビデオを見ていて、私とカンポンが共通して指摘した事実があった。映画の中でハヌマンとウルトラ兄弟はともに怪獣と戦っているのだが、よーく見ると、ほとんど休みなく、無駄口一つ叩かず、律儀に闘っているのはウルトラ兄弟達だけで、ハヌマンのほうはといえば、ときどき気まぐれに戦闘に参加するのだが、たいていは猿のように踊ったり(猿の化身だから当然だが)、手を叩いて声援を送ったりしているだけである。ようするにほとんどさぼっているわけだ。

「なんかこれ、タイ人と日本人の気質を表わしているような気がしないでも・・・・・・」 とカンポン。 

Hanuman vs 7 Ultramans cover_R

「よく言えば勤勉、悪くいえば、遊び心がないっていうかなあ。ウルトラマンは、ワーカホリック日本人の象徴ってわけか」
 私たちの観察を裏付けるように、Hさんからメールが届いた。「日本の雑誌でこの映画を評した四方田犬彦は、タイのハヌマンを舞踏のような遊戯と見、日本出身(?)ウルトラマンたちを、どこまでも集団的規律を崩さず、すばやい動作で能率的に怪獣を退治する者だと考えています」。

 さらにその四方田犬彦によれば、ソムポート監督の最新作では、ウルトラマンが地上の人間を救うために下生してきた仏陀の化身であったという秘密がついに語られるそうだ。うーむ、見たいような、見たくないような。

 


プロフィール

三輪隆

Author:三輪隆
1955年岐阜県生まれ。写真家・文筆家。タイ在住26年。さくらプロジェクト代表。

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