さくらプロジェクトのブログ

タイ北部チェンラーイで活動する山地民の子どもたちのための教育支援NGO「さくらプロジェクト」代表の三輪隆が綴るさくら寮での日々

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2004/09/24 15:24 ジャンル: Category:さくら寮日誌
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さくらのちびっこたち補正 

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 さくらプロジェクトの若いスタッフ、カンポンから聞いたのだが、タイのある機関の調査によれば、ここ10年間、タイ人1人あたりが1日に読んだ活字の量は、平均6、5行だそうである。もちろん、新聞や雑誌、漫画、広告などを含めての話で、いわゆる「書物」に限れば、たぶん1日1行半ぐらいになるのではなかろうか。

 それほど、タイの人は本を読まない。本が売れないから出版界も書店も活性化しないし、活字産業はますます先細る一方である。特に古典、外国文学はまず読まない。翻訳物の出版点数も少ない。まあ、活字離れの問題は日本もタイのことを言えるような状況ではないが、確かにさくら寮の子供たちを見ていても、本当に情けなくなるほど本を読まない。
 さくら寮の図書係の女性(24歳・短大卒)でさえ学校の教科書以外の本を読んだのはこれまでの人生で7冊ぐらいかなあ、と言っていたので、他の寮生たちの現状は推して知るべし。現役の大学院生(修士課程)のカンポンにしたところが、学校の教材と新聞以外読んでいる姿を見たことがない。子供たちは、新聞のテレビ小説欄はまじめに読んでいるが、これは平日から週末にかけてテレビで放送される連続ドラマの要約で、さくら寮では金曜日と土曜日しかテレビを見せないので、新聞でストーリーを把握しておかないと、クラスの友人との話題についていけないのだという。しかし、タイのゴールデンタイムにおけるテレビドラマのチープな内容とそのワンパターンぶりといったら、こんなことでタイの未来を背負う子供たちの情操教育は大丈夫なのだろうか、と人の国のことながら心配になるほどだ。

 ならば、AV戦略。まずは、文字ではなく映像から。タイのメロドラマばかりではなく、心の洗われるような映画を見せて、寮の子供たちに豊かで温かい心を培ってもらおう、というわけで、先日日本に帰国したおり、シネマ・プロジェクターを買ってきた。最近のシネマ・プロジェクターは、液晶タイプのものでもかなり進化を遂げ、10万円代の普及機種でも、ある程度部屋を暗くすればごくふつうの白壁にも300インチの映像をかなりクリヤーに映し出すことができる。自宅を映画館のようにできるなど、私の若いころのことを思えば夢のような話である。

 で、いよいよ寮内に「さくらナイトシアター」のオープンである。

 本を読まない子供たちに、世界映画の名作をとことん見せてやろう! 意気込んでチェンラーイのビデオレンタル・ショップに駆け込んだものの、私はしばし茫然と立ち尽くした。タイのレンタル・ビデオ事情はここ数年の間にまったく様変わりしていたのだ。テープメディアは姿を消し、ほとんどがVCDとDVDに変わっている。いや、私だってDVDプレーヤの1つや2つは持っているから、それは別に問題ではない。悲しむべきは、ソフトの質が明らかに最近の「売れ筋」のものに限定されてしまっているということだ。売れ筋の本しか置かない昨今の日本の書店と同じだ。少数派の声が完全に切り捨てられている。チェンラーイに進出した「TSUTAYA」では、日本映画コーナーもあったが、並んでいたのは、「バトル・ロワイアル」「バトル・ロワイアルⅡ」およびいくつかのホラー映画のみだった。うーむ! この品揃えはいったい・・・・・・。

 そもそも私が熱心に映画館に通っていた1980年代半ばまでの映画などはほとんどおいていない。

 以前利用していたビデオレンタル・ショップ(ただし、客を最初から万引きと疑ってかかっているレジの中国人オーナーの婆さんの陰険なまなざしには閉口させられた)の棚には、あまたの娯楽作品の中に混じって、「おっ」と叫びたくなるような、あるいは思わずにんまりとしたくなるような往年の名作、問題作、マニア受けする作品が並んでいた。しかし、そのショップも「TSUTAYA」などに押されて、今年になってつぶれてしまった。晩年はほとんど客が入っていなかったあのさびれたビデオレンタル・ショップの、あの貴重なビデオ・テープ群は、もう廃棄されてしまったのだろうか。もったいない。あのとき、迷わずにレンタルしてコピーしておけば! 

 まあ、昔のことはともかく、いざ探してみると、安心して子供に見せられるような作品は昨今のビデオレンタル・ショップにはあまりおいていないものだ。

 違法と知りつつ、海賊版に頼る、という手もある。

 数年前、メーサイの向こう側、ミャンマーのタチレクで「A.I.」の海賊版VCDを買ってきて子供たちに見せたことがあった。

 メーサイやタチレクで売られている海外モノの作品の多くが違法コピーもしくは海賊版で、封切り直後の新作など、ひどい場合には、中国あたりの映画館のスクリーンからホームビデオカメラで直接撮影した映像がVCD化されて出まわっていることがある。

 この「A.I.」がまさにそれで、これがまた想像を絶するようなズサンな撮影。たぶん臨時雇いの素人がカメラを渡されて映画館で隠し撮りをしたものだろう。スクリーンの画質だから画像が暗いのは当然として、観客の品のない笑い声が入っていたり、咳払い、鼻を噛む音、バリバリとお菓子を食べている音が聞こえてきたり、トイレにたった客が前を横切ったりするために突然画面が真っ暗になったりする。カメラワークもお粗末で、ピンぼけになったり、素人のビデオ撮影みたいに意味もなく突然ズームイン、アウトを繰り返したりしている(するか、普通)。
 
 きわめつけは、たぶん、睡眠時無呼吸症候群気味の撮影者が途中で居眠りに突入したのだろう、カメラの向きが徐々にさがっていって、約10分間、スクリーンのトリミングが上半分ぐらい完全に切れてしまっていた。で、やっと目覚めたのか、また正常に戻っていたりする。「失敗したらもう1度撮れよな」と突っ込みを入れたくなるようないい加減な作品が市場に堂々と出回っているのである。

 かと思えば、なかなか涙ぐましい海賊版もある。先日、子供たちに見せようと、だまされて買ってきたのが、中国版アニメの「ターザン」。スーパーのバーゲンで1枚29バーツで売っていた。てっきり本物のディズニー映画の「ターザン」の違法コピーによる海賊盤かと思ったら、なんと、中国の地下スタジオで製作されたと思われる、タイトルだけ「ターザン」の完全オリジナル作品だった! ほとんど素人が描いたとしか思えないものすごく稚拙な原画キャラクター、そしてデッサンが完全にくるった手抜きだらけの背景、パートのおばさんたちが徹夜で仕上げたとおぼしき、ぎこちない動きをするセル画・・・・・・。

 ストーリーこそ盗作だが、一から全部描き直して自力でアニメ作品にしてしまっているという、健気なというか、トマソン的な(?)努力と情熱に脱帽した。どうせ著作権侵害の汚名をきせられるのなら、オリジナルを丸ごとコピーするほうがずっと楽して儲かるのに、この律儀な態度はいったいなんなのか? それにここまでやるだけの情熱と労力と人材があるのなら、いっそのことオリジナル作品で勝負すれば、と思うのだが、やはりタイトルが「ターザン」だからだまされて買う人がいるのだろう。私みたいに。しかし、そもそもこれ、ビジネスとして、成り立っているのだろうか? 他人事ながら心配である。

 この力作アニメが中国人の作品ではなくて、タイ人による製作だとしたら、私はタイ人をちょっとだけ見直すのだが。

 
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プロフィール

三輪隆

Author:三輪隆
1955年岐阜県生まれ。写真家・文筆家。タイ在住26年。さくらプロジェクト代表。

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